のんびり鉄道紀行

カメラを持ってふらふら鉄道旅をした記録を綴っています

陸羽東線 ~鳴子温泉駅編~


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旅をする上で最も大事なことは、機転である。

日本の鉄道は大体時間通りに運行をするという素晴らしいものであるが、それが決して動いているとは限らないという事もある。特に真冬の雪が積もった東北では特に。



今回の旅の目的では、震災が起こった地を訪れる事であったが、それと同時に三陸鉄道が一昨年の春に全線開通というニュースを受けて乗ってみたいという思いがあった。小本―田野畑間は駅や高架橋が流失し、工事に時間がかかったという事もあり、まだまだ復旧は遠いものだと思っていたが こんなに早く運行が可能になるとは。
多くの方がご存知である「あまちゃん」のブームが少し落ち着いたこともあり、タイミングを計って旅を計画した。


しかし、プラン通りにいかないのが旅なのである。
遠野から似内駅で乗換えをし、東北線経由で盛岡まで来たがいいが 三陸鉄道北リアス線まで繋ぐ山田線が途中までしか走れないというアナウンスが構内に響いたのだ。
まさか、、と多大なる絶望感に襲われるが 八戸から回って当初の目的地を目指すとしても途中下車する時間は残されていない。これでは、鉄道にただ乗るだけの旅になってしまうので なんの思い出にもならないだろう。




とにかく呆然と突っ立っていても埒が明かないので、気づいたときには再び東北本線を逆走するような形で電車に乗り込んでいた。
乗客で込み合った車内でノートとペン、時刻表を開き別のルートを模索する。

最初に考えたのは、北上線経由で横手まで出て秋田新幹線で帰るルートだ。
ほっとゆだ駅で下車し温泉を堪能しようという考えであったが 温泉ならその通りに陸羽東線の通称湯けむりラインも存在していることに気づく。
陸羽東線には鳴子温泉駅というコケシで有名な駅があるのだが、のどかな田舎景色に囲まれた北上線と比べ山に囲まれた路線なのである。
そういえば、ここ最近海しか見ていないな という事もあり すぐさま一関経由で小牛田に戻り陸羽東線から新庄出て山形新幹線で帰るルートを叩き出すと どうやらこちらも大丈夫そうだ。


急遽行き先を鳴子温泉駅へと車内で決定した瞬間であった。

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乗り換えが結構あるので辿り着くまでに疲労が増したが、雪に染まった山が現れだすと小麦色一面であった景色も一変迫力を増しテンションが上がるものだ。
やっとの事で鳴子温泉に到着したのは16時過ぎ。空腹と歩きつかれた体を引きずりながら、地元民が通うという古湯へと向かう。古めかしい温泉街には、大体、新湯と古湯があり、どちらも簡単な洗い場があり極度に熱い湯船とぬるま湯が備え付けているだけというシンプルな造りである。
筆者は昔から熱いお湯に浸かることを好んでいたので 迷わず駅からもアクセスがいい古湯を選択したというわけだ。


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訪れたのは駅から5分ほど歩いた場所にある建っている「滝の湯」。
鳴子温泉街から少し上がったところに温泉神社があり、その下に鳴子温泉のシンボル共同浴場 滝の湯がある。滝の湯のお湯は温泉神社の「ご神湯」を引いているそうだ。
千年以上前の噴火によって温泉が湧出して、これを祀って温泉神社ができ この温泉が滝の湯の起源である。何はともあれご利益を授かりそうなお湯なので これは期待できそうだ。


服を脱ぎ捨てるようにカゴに押し込み 現れた木造の湯船に慎重に足を入れると、熱い湯が体の心まで入ってくるように身を包んでくれた。
思わず歓喜のため息を漏らしながら目を閉じると これまでの疲れがじわーっと流れていくようだ。
白く濁った色と硫黄の臭いから 少しすっぱい様な香りがいかにも温泉に来たという雰囲気にさせてくれる。
利用者も筆者と成人女性の親子しかいないので ゆっくり体を休めることができた。



滝の湯を後にし、温泉街を散策してみると 温泉まんじゅう屋が並でいる中で 一軒こじんまりとしたと店を発見する。中を覗いてみると とてつもない量のみたらしに入った白玉がショーケースに並んでいるのだ。
普通の温泉まんじゅうを食べるだけでは物足りなさを感じ たまらず衝動に駆られ、その気になるみたらし団子を購入してみた。



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帰りの車内で封を切ると 溢れんばかりのみたらしが姿を現す。
中に埋もれている白玉を救出するだけでも一苦労であり、さらにそこに みたらしを塗りたくって口に頬張ってみる。

モチモチとした白玉の触感もいいのだが 甘いじょっぱいタレがドロっと口内をいっぱいにする。
しかもこのタレがまた 甘すぎなくいくらでも舐められるのだ。
みっともない話だが ここまで美味しいタレに遭遇すると残すわけにもいかず、結局全て付属の箸で舐め切ってしまい みたらし団子を食べたというよりは、みたらしを大いに堪能したしまった。。。


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もち米に腹を膨らませて苦しく横たわっていると、窓の向こうは雪で美しく化粧下山々が現れる。
外は吹雪に触れて見るからに寒そうなのだが、その広大さに惚れ惚れと見とれていながら 蜜を舐めすぎた苦しみには勝てず 再び横になるのであった。